【日本経済新聞より引用】邦人、帰国時のトラブル続出 陰性証明あるのに搭乗拒否

2021年7月31日付けの日本経済新聞電子版において「検査証明書」が原因で様々な問題が起きていることが指摘されています。

同紙は検査証明書の問題点について、実際に起きたトラブルを元に紹介していますので、渡航を検討している人は実情を理解するのに役立ちます。

ぜひ参考にしてください。

以下、記事は日本経済新聞より引用しています。

邦人、帰国時のトラブル続出 陰性証明あるのに搭乗拒否

2021年7月31日 11:00 (2021年7月31日 21:14更新)

【イスタンブール=木寺もも子、ジャカルタ=地曳航也】夏休みや新型コロナウイルスのワクチン接種のため日本に一時帰国する在外邦人が増えるなか、飛行機への搭乗や日本到着後の隔離施設などをめぐるトラブルが相次いでいる。原因として目立つのは日本行政の独自様式への固執やデジタル対応の遅れ、縦割りの弊害だ。

「この証明書では搭乗させられない」。7月上旬、山口県の経営者女性(48)はトルコ西部の地方空港で航空会社職員に告げられた。トルコ人男性との結婚手続きをした後、日本に帰国しようとしていたが、乗り継ぐ日本便への搭乗が認められず、航空券をキャンセルした。

問題になったのは、女性が提示したPCR検査の陰性証明書だ。日本を含む大半の国は、一定時間内のPCR検査の陰性結果を入国の条件としている。ただ諸外国では医療機関が発行した検査結果を認めるのが一般的なのに対し、日本は3月以降、原則として厚生労働省が定める独自書式への記入を求めている。

外務省によると、在外邦人が日本に帰国する際、書式への記載不備が理由で、航空会社が搭乗を拒否したり、日本に着いた後に入国管理当局が送還したりする例が相次いだ。このため、外務省が働きかけ、厚労省はその後証明書への記載が日本の書式と同じ内容であれば入国できるようにした。ただ周知が行き届かずトラブルは収まらない。

証明書の不備で日本入国が認められなかった場合、乗客を送還する費用は航空会社の負担となる。リスクを避けたい航空会社が搭乗時のチェックを厳しくしているもようだ。海外では医療機関がPCR検査の結果をPDFなどで電子交付することが多く、手書きでの記入を求める日本式は入手が難しい。

検査方法も混乱を招いている。日本の陰性証明は当初、鼻咽頭ぬぐい液か唾液のいずれかのみを検体として有効としていた。一方、海外では鼻咽頭ぬぐい液と咽頭ぬぐい液の混合検体が主流で、日本の基準で検査を受けられる医療機関を見つけるのに手間がかかるとの不満が寄せられていた。

厚労省は7月から混合検体を陰性証明の対象に加えたが、海外では鼻咽頭ぬぐい液を「鼻ぬぐい液」などと記載する例も多く、在外公館では「表記が違うと搭乗や入国を拒否される可能性がある」として注意を呼びかけている。

国際法や入管政策に詳しい一橋大の橋本直子准教授は「国籍国への帰国は基本的人権で、書類の形式不備で入国を拒否するのは行き過ぎだ」と指摘する。特に送還された場合は相手国が再入国させるか不透明で「日本に到着した人は空港内の検査や隔離措置を経て入国させるのが合理的だ」と話す。

組織の縦割りの弊害に遭った人もいる。新型コロナの感染が収まらないインドネシアから一時退避する日本人ら約200人を乗せた7月25日の日本航空(JAL)の特別便。外務省は搭乗者の到着後の隔離先として所属企業からの申請書の提出を条件に会社が選んだホテルや社宅の利用を認めたが、厚労省が待ったをかけた。

4日前の全日本空輸(ANA)の特別便の搭乗者の中から、一定のコロナ陽性者が出たため、厚労省はJAL便の搭乗者に会社が手配したホテルや社宅での隔離を認めない方針に転じた。しかし、外務省との調整不足で、JAL便に乗った対象者は事前の説明を受けないまま、到着後に初めて政府指定施設での隔離を知らされた。

会社手配のホテルや社宅での隔離を予定した人の中には生活物資を事前に送ったケースもあった。該当者の一人がホテルのキャンセル代を国が補償するのか厚労省職員に問い合わせたところ「会社が外務省と交渉してほしい」との回答だったという。「外務省が認めた手続きに沿って進めただけなのに、極めて無責任だ」と憤る。

欧州で在留邦人の帰国手続きにあたっているある日本大使館の駐在員は「日本行政は独自様式に固執する『ガラパゴス性』と、デジタル対応の遅れ、組織の縦割りの弊害を、そのまま国際社会に押し付けている」と本国に改善を促す。

要約

この記事を要約すると以下のようになります。

  • 日本行政の固執によって入国できないトラブルが多発
  • 書類の不備が理由で強制送還させられる
  • 行政が合理的な判断ができない
  • 臨機応変に対応できない
  • 海外の事情を考慮していない
  • 日本政府の過度な制約によって帰国できない人がいる
  • 検査証明書の様式や要件が無駄に厳しい
  • 電子化に対応していないため困る人が大勢いる

なんとも日本らしい様相ですが、仮にあなたがツーソンミネラルショーに出向く場合、他人事ではなくなります。

まとめ

このサイトでは「検査証明書」をアメリカ国内で手配できる自信がない人は渡航を控えた方が良いと考えています。

入国(帰国)を巡るトラブルは報道されていないだけで、実際には日々起きています。その大半は融通とは無縁の「検査証明書」が原因です。

このような事情をよく理解したうえで渡航を検討しましょう。